2015年1月7日・8日の2日間にわたり瀬戸線用の増備車両として製造された3300系3306Fのトレーラー輸送が愛知県豊川市の日本車輌から尾張旭検車区まで行われ、検車区において搬入作業が実施されました。
瀬戸線は2014年4月6日の6000系6035Fの引退により4000系での車両統一が実現していましたが、この度本線系用の車両である3300系が導入された事により、再び異なる形式の車両が走る事になります。
名鉄から3300系の導入に関しては「喜多山駅高架化に伴い搬入」という事以外はコメントされていませんが、喜多山駅高架化工事による仮線化や上り線高架化が行われた際の喜多山駅渡り線の廃止により折り返し列車が運転できなる事で運用数増加が見込まれているのに対応するための車両のようで、高架化工事完了後は車両が余剰となることから本線系に転籍する事を想定して3300系が製造されたものと思われます。
3300系は2005年に導入された3305F以降は増備も無く今回約10年ぶりに製造されたため、各部に現在の基準に合わせた変更点がある他にも瀬戸線の4000系に合わせた仕様変更と思われる箇所も散見され、見た目が本線で活躍する3300系と若干異なっているのが特徴です。
|
通常日本車輌から名鉄線へは甲種輸送で運ばれる3300系。今回は瀬戸線向けという事で初のトレーラー輸送です。角ばった4000系の姿は見慣れましたが、瀬戸線で3300系は新鮮に見えます。
2015年1月7日 尾張旭市内にて |
|
2両目のモ3356が到着。検車区内で先行するク3306の切り返し作業が遅れていたため、珍しく住宅地の細い路地で一時停止。
2015年1月7日 尾張旭市内にて |
|
やや遅れましたがモ3356も無事に尾張旭検車区に到着しました。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
7日の日中に1日目の搬入作業が実施されました。クレーンを使い車体をトレーラーから線路上の台車の上に載せます。宙に浮くク3306の車体。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
台車に載せた後は車両移動機で牽引して検修庫に移動。庫内でボルスタアンカなどの部品取り付けを行います。車体は3300系仕様という事で側面の行先表示機や車番の位置が4000系と異なっています。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
続いてモ3356が吊り上げられます。風が強い中、ロープで車体の揺れなどを抑えつつ慎重に位置合わせをして台車の上に載せます。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
翌8日早朝、サ3456とモ3406の2両の輸送が行われました。西大道町交差点に到着したモ3406。
2015年1月8日 尾張旭市内にて |
|
8日の日中にサ3456とモ3406の搬入作業が行われました。吊り上げられて台車の上に載せる作業中のサ3456。4000系には無い付随の中間車です。
2015年1月8日 尾張旭検車区にて |
|
続いて栄町方の先頭車となるモ3304の吊り上げ作業です。スカート形状の変更で表情が精悍になった気がします。
2015年1月8日 尾張旭検車区にて |
|
留置線で休む4000系と搬入作業中の3300系。数年間という期間限定となりますが、これまで考えられなかった両者の共演が瀬戸線内で展開される事になります。
2015年1月8日 尾張旭検車区にて |
|
3306Fの外観で最も目立つ変更点。先頭車スカートの形状が変更されました。従来よりも長くなりそれに合わせて車体側のブラックアウト処理部の面積が広がりました。下部の角が斜めに処理された事でシャープな印象に。
2015年1月8日 岡崎市内にて |
|
連結運転の無い瀬戸線では必要のないM式自動解結装置が装備されています。本線系に転籍してから活用されると思われます。瀬戸線用の仕様として連結時に接続するジャンパ栓が設置されており、スカートに蓋があります。
2015年1月8日 尾張旭市内にて |
|
車体は基本的に3300系がベースとなっており、側面の行先表示機や車番、点検蓋などの位置が4000系と異なります。4000系同様のレーザー溶接が採用されており、スポット溶接痕はかなり削減されています。
2015年1月7日 尾張旭市内にて |
|
3300系では初採用となるLED式の行先表示機を採用。4000系4016F以降の編成と同じように全面フルカラーの機器が採用されているようです。
2015年1月7日 尾張旭市内にて |
|
細かな部分ですが車体側面裾絞りの位置が変更されています。4000系まではドアステップ下端から絞られていましたが、数センチ上側から斜めに絞られているため、側面のステンレス板に斜めに折る加工がされています。乗務員扉下部の昇降ステップなどは形状が変更されています。
2015年1月7日 豊川市内にて |
|
3306Fの台車は4000系と同じボルスタ付きのモノリンク式台車。形番は動力車はFS571MA、付随車はFS571TAで基本は4000系と同じですが末尾に「A」と付くため若干の仕様変更があると思われます。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
車体の裾絞りの変更により、台車部分では一部台枠が側面まではみ出しているようです。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
4000系では全密閉型の電動機が採用されていますが、3306Fは通常の誘導電動機のようです。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
コンプレッサーなどの機器は他の3300系と同様のものが採用されています。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
モ3356、モ3406には東芝製のVVVFインバータ制御装置が搭載されています。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |
|
モ3406の運転台部分です。日除けが4000系と同じロールカーテン式が採用されています。LED式行先表示機は全面フルカラーのタイプが採用されています。
2015年1月8日 尾張旭検車区にて |
|
車内は3300系で初めてオールロングシートとなりました。4008F以降の仕様に合わせてスタンションポールは艶消しのシルバーで優先席部分については凹凸のある黄色のポールが採用されています。シート座面は4000系と異なり3150・5000系など同じタイプです。
2015年1月7日 尾張旭市内にて |
|
各扉上にはLCDを用いたトレインビジョンが設置されています。4000系のような4:3の画面ではなく16:9のワイド画面が採用されました。側面扉の内側は本線系の車両に合わせて塗装されています。
2015年1月8日 尾張旭検車区にて |
|
ドア付近に枕木方向の吊り革が増設されました。写真では見難いですが妻面貫通路扉上部の車番の横にある号車表示のLED表示機はステッカーになっています。表示機を隠しているものなのかは不明です。
2015年1月7日 尾張旭検車区にて |