記事作成 2006年12月22日
記事更新 2013年3月15日
栄町乗入れを予定していた瀬戸線は架線電圧を600Vから本線などと同じ1500Vへと昇圧する事となり、それまで活躍してきた600V用旧型車を1500V対応車両へと総入れ替えを行うこととなりました。そのために1978年(昭和53年)に6600系電車が製造され、瀬戸線へと導入されました。 瀬戸線用としては久しぶりの新車という事になり、沿線住民からも注目されました。
6600系は本線用として登場していた6000系通勤型電車をベースに瀬戸線の路線の特徴に合うように細部を変更したものです。6000系は冷房を搭載して側面にはパノラマカー譲りの固定窓を採用しておりましたが、6600系は当時は冷房が無い事が当たり前だった地下区間があることや、駅間距離が短く頻繁にドアを開閉するために冷房効果が低いなどの理由でクーラーは搭載されず、側窓が開閉可能なユニット窓となりました。また昇圧当初は連結運転は想定しておらず、前面にはスカートを採用しています。そのため6000系とはやや印象が異なるものになりました。
その後冷房導入を望む声が高まった事からパノラマカーの廃車発生品を利用し全車冷房化改造が実施され、またラッシュの激化に対応するため車内の小型クロスシートのロングシート化も実施されました。特徴だった銀色に光る側面ユニットサッシも赤く塗装されるなど、登場時と比べて少し姿が変わっています。
2両編成が6編成、計12両製造されて6000系の転属までは瀬戸線唯一の高性能車として活躍、6000系が転入後やや影が薄くなりましたが、変わる事無く活躍し続けました。
先述の通り本線用の6000系2次車をベースとしており、3扉の名鉄通勤型電車標準の車体が採用されています。ただ瀬戸線に合わせた仕様変更が各部に行われています。
第一に冷房装置の搭載が見送られた事により、側面の窓は開閉が可能なユニット窓が採用されました。窓は上部窓が下降し下部窓は固定されているもので、新製時は窓枠を無塗装としたため銀色に輝く窓が側面の良いアクセントとなっていました。しかしながら1991年頃から順次車体と同じ赤色に塗装されるようになりました。
冷房の搭載が見送られたため天井には外気導入形ラインデリアが設置され、車両全体にわたり設置されていたその細長いカバーも6600系の大きな特徴となっていました。現在は冷房化改造され、古めかしい冷房装置とのミスマッチな所が特徴となっています。その古めかしい冷房装置の間に以前の細長いラインデリアカバーの名残(現在もラインでリアが残る部分)が確認できます。
前面もベースとなった6000系と同じデザインで貫通型になっています。特徴は分割併合を行わない事を想定し、6000系には無かったスカートが取り付けられたことです。また自動解結装置も省略されています。現在前面貫通扉の周囲に取り付けられている幌取り付け用の台座も登場時は本線の6000系同様設置されておらずスッキリした姿でした。しかし6600系の4両運転を実施するために幌を取り付ける必要が出てきたため、後に改造で台座が取り付けられています。その際スカートの取り外しが検討されたという話もあるようですが、実施はされされませんでした。改造後は前面に幌を取り付けて活躍していましたが、4両運転が基本となったため常に先頭に立つ車両に関しては幌の取り外しが行われました。
貫通扉にサボ受けはなく、6000系の違いの1つになっています。何度かサボ形のヘッドマークを取り付けたことがありますが手すりに固定するという特殊な方法で行われています。
方向幕は6000系では種別・行先が分離されたものでしたが、瀬戸線では行先が限られコマ数が少なくて済むため、6600系では種別・行先が一体となっています。1500V昇圧時にはまだ栄町には乗り入れていなかったため、仮の終点となっていた「土居下」の表示も用意されていましたが、現在は全て英字併記の新しいタイプの幕に交換されており、その表示も消滅しています。
6600系の走行機器は基本的には6000系と同じものが搭載されています。抵抗制御方式を採用。回生ブレーキは搭載されておらず、電気ブレーキよって発生した電力は床下抵抗器で熱エネルギーに変換されるため、抵抗器からかなりの熱が発生するのが欠点。栄町地下線の温度を上昇させる原因にもなっています。主電動機は全てが電動車である7700系などの倍となる150kWのモーター(TDK8050-A)を4基装備することにより、動力車と付随車を1単位としたMT編成を組んでいます。6750系(AL車)とはM車とT車の位置が逆になっています。
台車も6000系と同じ、S形ミンデン式のFS398(M車)とFS098(T車)を装備しています。
補助電源装置はMGを搭載していましたが、冷房化改造時に静止形インバータ(SIV)に変更されています。
車内は現在は標準的なロングシート仕様になっています。新製当初は6000系で採用されたバスのような小型固定クロスシートが採用されていましたが、利用者が増えラッシュ時の混雑が激しくなったため順次ロングシートへと改造工事が実施されました。ロングシート化で赤いシートモケットが採用されましたが、現在は全ての編成がブラウンパープルのモケットとなっています。6000系との違いとして着席幅を示す横向きの縫い目の入るバケットタイプとなっています。床はグレーに赤いラインが入った物で、今となってはやや時代を感じます。
近年、車内の化粧板が黄ばむなど老朽化が目立っていたため、2004年に天井やドア内側の再塗装・壁へのフィルム貼り付けなどの車内リフレッシュ工事が全車両に実施されました。
運転台は貫通構造のためコンパクトにまとめられており、モデルとなった6000系初期車と同じスピードメーターなどが収められた正面の計器盤が角ばっている運転台となっています。同様の構造を持った6000系は車両更新に伴いクリーム+黒系統のカラーリングに変更されていますが、6600系はオリジナルの薄緑色のままです。
正面に種別と行先が一体となった方向幕が設置されています。方向幕窓のサイズが瀬戸線の他の車両よりもひと回り小さいのが特徴です。2000年1月頃に現在の英字併記の新タイプ方向幕に変更されました。
8800系製造のため廃車になった7000系中間車の冷房装置を流用し1985年頃から順次冷房改造が行われています。TAC-15T2(4500kcal/h)が各車両に6台設置されています。ちなみに6600系が名鉄初の冷房改造工事実施車両になります。
瀬戸線では車内の次駅案内放送が自動で行なわれており、その自動放送装置がモ6700運転室内上部に設置されています。6600系には改造で設置されており、2002年に機器の更新も行われました。
2012年の3月に4000系増備により初の廃車が発生。2013年3月3日のさよなら運転をもって全編成が引退しました。
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ク6600(Tc) | モ6700(Mc) | ク6600(Tc) | モ6700(Mc) | |||||
6601F+6604F | 6601 | - | 6701 | + | 6604 | - | 6704 | |
全検:11.1 重検:07.3 | 全検:07.12 重検:11.11 | |||||||
6602F+6605F | 6602 | - | 6702 | + | 6605 | - | 6705 | |
全検:07.2 重検:10.12 | 全検:04.6 重検:08.6 | |||||||
6603F+6606F | 6603 | - | 6703 | + | 6606 | - | 6706 | |
全検:11.2 重検:07.4 | 全検:08.7 重検:04.7 |