記事作成 2006年11月6日
記事更新 2011年4月16日
1978年(昭和53年)に行われた栄町乗入れ後、増え続ける乗客に対応するため、名鉄は車両数を増やし増発することで対応してきました。その車両増備は木造旧型車を更新したHL車(間接非自動制御車)「3730系」「3770系」を本線から転属させるという形で行われたのですが、それらの車両は非力で加速は鈍い上に乗降に時間の掛かる2扉車のためラッシュには不向きで、加えて冷房が搭載されていない事で不評でした。そこで新たな増発用として1986年(昭和61年)に6650系が製造されました。
当時の名鉄は非冷房で残る多くの旧型車両の更新が急務で、まだ使えるモーターや台車などの足回りを再利用し冷房付きの車体だけを新たに製作する手法で車両更新を進めていました。6650系もそのような状況下で生まれた車両で、つりかけ駆動のAL車(間接自動制御車)である3900系第4編成の台車・機器を再利用し製作されました。足回りは旧式になるのですが、性能は当時の瀬戸線で十分通用するという事で導入となりました。しかし所詮は旧型車両ゆえ、台車は古く乗り心地は劣り、加速時にはつりかけ駆動の特徴である大きな音が発生するという欠点があります。また当時と比べ加速度が求められる現在の瀬戸線では走行性能的にやや見劣りするようになって来ました。
走行性能の他にこの車両の欠点として挙げられるものの1つとして、冷房性能の低さがあります。当時は「省エネ冷房」を推進しており、冷房装置は2台しか搭載されず、また6000系のような熱交換型換気装置(ロスナイ)も搭載されませんでした。そのため全車が最近流行りの「弱冷房車」となっています…。(^^;
6650系は2両編成2編成の合計4両のみの製造で終了。後継は車体デザインが大きく変わった6750系となりました。現在は通常2編成を連結して4両編成で使用されるので、実質上は1編成のみとなります。狙わなければなかなか乗ることができず、1回でこの電車を引き当てた人はかなり運がいい人なのかもしれません。
ちなみに6650系は6750系1次車、6750系を6750系2次車とも呼ばれます。名鉄公式サイトも6750系1次車と表記されているため「1次車」が正式と思われますが、誕生当初は雑誌の記事にも6650系書かれており、6650系と呼ぶ事が一般的だったと思います。他にも関係者やファンの間では「A1A2」と略号(AはALのA、1・2は編成の番号)で呼ばれることもあります。
2011年3月19日にさよなら運転が行われ、3月25日が最終運用。引退となりました。
車体は6000系から採用された貫通形・3扉の車体で、同じ瀬戸線用の6600系を基本としています。ただし6600系とは製造時期が違うため各部に変更が加えられています。主な変更点として「側扉窓の大型化」「車両連結面の扉の片開き化」「床面の低床化(1,150mm→1,110mm)」など6000系にも行われた仕様変更が行われています。
側窓は6600系と同じく開閉式のユニット窓ですが、6600系が上段下降・下段固定だったのに対して6650系は上段下降・下段上昇となっています。窓周りのサッシは登場時より赤く塗装されていました。
前面の特徴として標識灯が6500系2次車で採用されたLED1灯式のものが採用されています。LEDの大きさに対して周りのケースが大きく、よく目立ちます。また6600系に採用されたスカートは連結開放作業を行ないやすくするために省略されました。
方向幕は6600系と同じく種別・行先が一体となったものですが、サイズがひとまわり大きくなっています。2000年6月に英字併記幕に変更になりました。
なお6600系の前面形状はほぼ同時期に登場した本線系用AL更新車である先代3300系でも採用されました。
貫通路には栄町の地下線対策で編成を貫通させる必要があるため、幌を取り付ける台座があります。現在では編成を分割する事はなく、常に4両固定編成として運転されているために先頭に位置するモ6751、ク6652の幌は取り外されています。登場時は先頭部にも幌が取り付けられていたため、雰囲気が違っていました。
貫通扉にはサボ受けが設置されています。それを生かして以前はヘッドマークを取り付けることが多かったのですが、今は転属してきた6000系にサボ受けがあるため6650系にはあまり取付けられなくなりました。
前述の通りAL車3900系第4編成の台車、電装品などの機器を再利用して製作されました。AL(間接自動制御)の抵抗制御、駆動方式はつりかけ式で加速時に大きな音を立てるのが特徴。ブレーキは自動ブレーキで運転士の操作方法に特徴があります。
M車T車共に3904Fから流用されたペデスタル式のFS16台車を装備。種車となった3904Fは新製AL車としては最後の製造で、高性能車の試験的意味合いで製造されており、台車にブレーキシリンダーを搭載するなど比較的新しい構造となっています。そのため乗り心地も足回り的に見ると製造が古い6750系よりも多少優れ、音もやや小さく感じられます。
車内は標準的なロングシートで、新製当初からロングシートで登場しています。シートは登場時は赤いシートモケットでしたが、薄いパープルに帯が入ったものを経て現在はブラウンパープルのタイプに変更されています。椅子の形状としては、座面奥行きが広くて背もたれがやや低い感じがします。(個人的感覚ですが…)
シートそで仕切形状が6600系と6750系の中間のような形状となっています。6600系ではパイプになっている部分が6650系では化粧板仕上げの板になっています。また下部は6750系では座面より高い位置まで仕切りがあるのに対し、6650系では座面と同じ高さまでしかありません。
床はグレーの床に赤いフットラインの入ったもので、6000系・6600系のロングシート改造車と同じものとなっています。
側扉は両開きドアで窓は大型のものです。兄弟車といえる先代3300系はドア内側が塗装されていましたが6650系はステンレスの地肌そのままで、少し冷たい感じがします。
貫通形のためコンパクトにまとめられています。6600系ではメーターが4つ並んでいますが、6650系では電流計が省略され3つとなっています。運転台内部は薄緑のカラーリングで、計器パネルの部分だけグレーで塗装されています。マスコンハンドルやブレーキ弁は流用品のためクラシカルな雰囲気が感じられます。
通常編成先頭に出ているク6652とモ6751には列車無線が整備されており、スピーカーや受話器などが設置されています。逆に中間になるモ6752とク6651には列車無線が省略されており、屋根上にアンテナが無い他、スピーカー、受話器などもありません。
屋根上にはRPU3004A冷房装置(10,500kcal/h)が各車2台設置されて、ラインデリアから冷風を吹き出します。6000系などでは冷房装置が2台になった編成ではロスナイ(熱交換形換気装置)が設置されていますが、6650系では省略されています。
名鉄が省エネ冷房を推奨していた時代に登場した電車で、冷房能力が低いため夏場はあまり涼しくない電車となってしまっています。
ク6652には自動放送装置が設置されています。登場時には設置されていませんでしたが、後に改造で取り付けられました。2002年には新しい装置への更新が行われています。
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モ6750(Mc) | ク6650(Tc) | モ6750(Mc) | ク6650(Tc) | |||||
6651F+6652F | 6751 | - | 6651 | + | 6752 | - | 6652 |