記事作成 2007年1月14日
記事更新:2013年6月6日
パノラマカーに代表される2扉車を多く所有していた名鉄がラッシュ時の輸送力増強を目的に1976年(昭和51年)に登場させた名鉄初の本格的通勤型車両で、その後登場する通勤型車両の基礎となった車両です。通勤形車両といってもクロスシートサービスにこだわっていた名鉄らしく、車内には小型の固定クロスシートを配置し、窓にはパノラマカー譲りの固定連続窓を採用するなど、当時の通勤型車両として画期的な車両でした。そのような面が評価され、通勤形車両として初めて「鉄道友の会 ブルーリボン賞」を受賞しました。
その後1985年(昭和60年)まで時代の変化に対応しつつ各部の設計変更を行いながら長期にわたり増備されたため、多彩な表情を持っている系列となっています。
6000系を形態により大まかに分けると3つに分けることが出来ます。
初期車=前面貫通型・側面窓固定連続窓・クーラー3台
中期車=前面貫通型・側面開閉式小型窓・クーラー2台+ロスナイ(熱交換形換気装置)
後期車=前面非貫通型・側面開閉式小型窓・クーラー2台+ロスナイ(熱交換形換気装置)
現在は特徴だったの車内クロスシートのロングシート化改造が行われ、純粋な通勤形車両となっています。他にも特別整備工事・ワンマン化改造などのさまざまな改造工事が行われた車両も存在しています。
瀬戸線へは1995年から転属という形で導入開始。1500V昇圧時から活躍してきた3780系がロングシート化改造が施されたものの2扉という事で混雑の激しい瀬戸線の朝ラッシュには適さない状態なっており、その3780系を淘汰するために6000系電車の転属が行われました。その際6000系には瀬戸線向けの改造工事が実施されています。
転属当初は地上設備側の都合で6600系同様に2両編成を2編成つなげ4両編成を仕立てて運転。その後喜多山検車場のピット改造やホーム監視モニターの設置を行い、中間車を組み込み4両固定編成化されました。その後も増発を目的に転属が行われ徐々に両数を増やし、現在は瀬戸線最大勢力となっています。
瀬戸線の6000系はすべて前面貫通型・開閉可能な側窓を持つ、いわゆる「中期車」が配置されています。
先に登場していた7700系を基本に両開きのドアを片側3箇所設けた、その後に続く名鉄通勤形電車の基本ともなった車体です。登場時期により様々な車体形態が存在しますが、瀬戸線に配置されている6000系は側面窓が開閉可能な小型ユニット窓が3つ並んだ車両が配属されています。
側扉は赤1色の扉です。本線系では上部半分が3ドア車識別のためグレーに塗装されていた時期があり、転属した際に赤塗装化が実施されています。ただ最近は本線系統の扉グレー塗装も省略されるようになり、赤い扉が瀬戸線だけの仕様という事ではなくなりました。
栄町の地下区間において非常時にトンネル内に脱出する必要があるため、瀬戸線用の6000系は全てが貫通型となっています。また運転室内には避難の際に必要な非常梯子も設置されています。(他の瀬戸線用車両についても同じ。)
先頭部の貫通路には幌を取り付ける台座があります。6000系が瀬戸線に初めて進出した時は2両編成を2編成連結して運用されており、地下線対策で編成全体を貫通させることが求められたため、中間に入った先頭車には幌を設置し繋がれていました。その幌を取り付けるため台座は瀬戸線転入時に改造で取り付けられました。2000年6月ダイヤ改正の際の車両増備で2両編成が消滅したため幌を繋げた姿は見られなくなりましたが、先頭車にはその名残があります。ちなみに初めから4両編成で転属した6035Fについても幌受けが付けられて転属してきました。
貫通扉にはサボ受けが取りつけられています。各種ヘッドマークを取りつけて活躍する事もあります。
特記事項としては、6035Fの先頭車ク6035号車は犬山線平田橋駅(現在、駅はありません)で起きた踏切事故により車体を大きく損傷したため、その後車体のみ再び作りなおしています。
オーソドックスな抵抗制御車で、回生ブレーキ(電気ブレーキで発生した電力を架線に戻すシステム)は搭載されていません。電気ブレーキよって発生した電力は車両床下の抵抗器で熱エネルギーに変換されるため抵抗器からの熱が栄町地下線の温度を上昇させる原因にもなっています。
主電動機は全てが電動車である7700系などの倍となる150kWのモーター(TDK8050-A)を4基装備することにより、動力車と付随車を1単位としたMT編成を組んでいます。6750系(AL車)とはM車とT車の位置が逆になっています。瀬戸線6000系の特徴としては限流値が変更されています。6000系は高速走行時には走行音が大きくなるのが難点ですが、元々高速走行の少ない瀬戸線ではさほど気になりません。
台車はS形ミンデン式のFS398(M車)とFS098(T車)を装備しています。
6000系の登場時は小型の固定クロスシートが設置されていました。しかしラッシュ激化により順次ロングシートに改造が実施されており、現在はごく標準的なロングシートの車内になっています。
瀬戸線6000系のシートは6750系登場時と同じパープルのラインの入ったシートモケットが使用されていましたが、最近は6031F・6032Fを除きブラウンパープルのシートモケットへの交換が実施されています。
床はグレーの床に赤いフットラインの入ったもので、6600系や6650系と同じものとなっています。
貫通型のためコンパクトな運転台です。運転台内部は登場当時の標準ともいえる薄緑のカラーリングで、スピードメーター・圧力計などがある計器パネルのみグレーとなっています。
瀬戸線用6000系の特徴として非常用梯子が運転室内部に準備されています。
正面に種別と行先が別となった方向幕が設置されています。2000年以降順次現在の英字併記の新タイプ方向幕に変更されています。
6000系中期車は冷房装置が2台と熱交換形換気装置(ロスナイ)が設置されています。
側面窓が固定窓である6000系初期車には冷房装置が(RPU3004、容量10,500kcal/h)が3台設置されていましたが、省エネの観点から中期車より2台(RPU3004A、容量10,500kcal/h)と熱交換形換気装置を設置し、窓も開閉式に変更されました。また車内への冷気の吹き出しは横流ファン(ラインデリア)から直接吹き出す方式へと変更になっています。
しかし真夏には冷房2台ではやはり能力不足で、冷房が効かない暑い車両となってしまいました。
そこで一部車両は冷房強化として新型冷房装置RPU3061(12,500kcal/h)への変更が行われ、瀬戸線6000系では多くが新型冷房装置に交換された車両となっています。(2000年に転属した6035Fの大多数と6223号車の片側が従来の冷房装置を搭載していましたが、廃車編成が発生するとその編成から捻出されたRPU3061へと交換が行われました。)
新型に載せかえられたとはいえ冷房装置の数が少ないのには変わらず、まだまだ夏場は暑いと感じる車両です。(^^;
瀬戸線では車内の次駅案内放送が自動で行なわれており、その自動放送装置がモ6200運転室内上部に設置されています。瀬戸線転属時に取り付けられました。その装置も2002年になり更新が行われ、新しい装置に交換されています。
156両が製造され、瀬戸線には最盛期は9編成36両が配属されていましたが、2011年3月に瀬戸線用の6032F4両が系列初の廃車となりました。その後も4000系の増備が実施される度に、1編成また1編成と数を減らしています。
←瀬戸方 | 栄町方→ | |||||||
◇ | ◇ | |||||||
ク6000(Tc) | モ6300(M) | サ6100(T) | モ6200(Mc) | |||||
6027F | 6027 | - | 6327 | - | 6127 | - | 6227 | |
全検:06.2 重検:10.1 | 全検:06.3 重検:10.3 | |||||||
6031F | 6031 | - | 6331 | - | 6131 | - | 6231 | |
全検:10.8 重検:06.12 | 全検:10.9 重検:06.12 | |||||||
6035F | 6035 | - | 6335 | - | 6135 | - | 6235 | |
全検:07.6 重検:11.6 | 全検:07.8 重検:11.7 | |||||||
▼廃車編成 | ||||||||
6023F | 6023 | - | 6323 | - | 6123 | - | 6223 | |
全検:04.3 重検:08.2 | 全検:04.2 重検:08.1 | |||||||
6024F | 6024 | - | 6324 | - | 6124 | - | 6224 | |
全検:04.11 重検:08.10 | 全検:04.10 重検:08.9 | |||||||
6025F | 6025 | - | 6325 | - | 6125 | - | 6225 | |
全検:05.4 重検:09.3 | 全検:05.3 重検:09.2 | |||||||
6026F | 6026 | - | 6326 | - | 6126 | - | 6226 | |
全検:05.9 重検:09.7 | 全検:05.8 重検:09.9 | |||||||
6032F | 6032 | - | 6332 | - | 6132 | - | 6232 | |
全検:03.11 重検:07.11 | 全検:03.9 重検:07.9 | |||||||
6033F | 6033 | - | 6333 | - | 6133 | - | 6233 | |
全検:09.1 重検:05.1 | 全検:08.12 重検:04.12 |