記事作成 2006年11月6日
記事更新 2011年2月22日
瀬戸線では1978年(昭和53年)の栄町乗入れから利用客が増加し、名鉄でもトップクラスともいえる混雑率になるまでになりました。1986年(昭和61年)には3扉の通勤型車両6650系を新たに導入し混雑緩和を図りましたが、当時の主力車両はラッシュ時に不向きな2ドアのHL車(3730系・3770系・3780系)で、根本的な解決には至っていませんでした。また3730・3770系には冷房が搭載されておらず不評でした。そこで冷房化100%を達成すると共に混雑緩和を図るため3ドア4両固定編成の通勤型車両を導入する事となり、1990年(平成2年)に6750系が製作されました。
6750系は先に瀬戸線に登場していた6650系の増備車として製作されており、車両番号も続番です。本線系で活躍し引退した旧型車(AL車)の機器を再利用し製作されている点も6650系と同じで、細かな違いはありますが性能的な面もほぼ同様です。しかし6750系は4両固定編成となり、車体デザインも6800系3次車に準じたものになるなど別形式といっても良いような車両となっています。車体を一見しただけでは新しい電車に見えますが、動き出すとレトロなつりかけ駆動の音が響くアンバランスな電車です。
足回りは旧型車そのままで、非力だったHL車よりも加速は良いものの6000系列と比べてしまうと加速が鈍いため共通運用にはやや苦しい面もあり、また乗り心地の面では大きく劣っています。しかしながら新しい車体だけあって大きな窓と女性客を意識した明るい室内、そして冷房がよく効きく点は好評です。
5編成20両が製造されましたが4000系の導入で2009年から順次廃車が進められ、最後に残った6756Fが2011年2月22日に引退して全編成が姿を消しました。
車体は1次車にあたる6650系とは大きく異なり6800系3次車を基本としたデザインで、窓は連続窓風で一部の窓がバランサ付下降式となっており開きます。
前面は地下線対策で貫通型にする必要があるため、6000・6650系などの前面を基本としていますが、正面窓を上下方向に315mm広げ前方視界を拡大。また前照灯と標識灯を一体としたものを正面窓の下に設置し、6000系とは一味違う新しいデザインとなっています。
6750系の車体の大きな特徴としてモ6780に設置された中間車掌室が挙げられます。6750系は4両固定編成としたため水野駅や大森・金城学院前駅など急カーブ上にホームが設置されている駅で最後尾の運転台から車掌がドアの確認が出来ない事から、これらの駅において中間車でドア扱いを行うことが出来るように設けられたものです。ちなみに現在は6000系中間車転属と同時に急カーブの駅ではホームにカメラとモニターを設置し、最後尾の車両からモニターを確認しながらのドア扱いを行うことが可能となっており、中間車掌室の存在理由が薄くなっています。
車掌室の内部には簡易運転台が設置されています。これは喜多山検車場で検査の場合に2両に分割する必要があったためで、構内入れ替えを容易にするために設置されました。現在は尾張旭の新検車区の稼動により分割する機会も減っており、連結器も密着自連から棒連結器に変更されています。隣のサ6680にも簡易運転台がありますが、客室内に設置されていて普段はカバーされており見えません。このカバーの上はちょうど良い物置台として乗客に重宝されているようです。最近は妻面に窓のある車両が少なくなっていますが、簡易運転台のおかげでサ6680には窓が設置されており車内も他車と比べちょっと明るく感じます。
6750系は本線系で活躍していた旧型車(AL車)の機器を再利用して製作された「車体更新車」です。台車は種車の物がそのまま使われているため乗り心地が悪く、つりかけ駆動特有の音も大きいのが欠点です。種車は3850系、3900系、いもむしの愛称で親しまれた3400系などで、ク6650がペデスタル式のFS13台車、他がゲルリッツ式のFS107台車を装備しています。ただ登場当時からサ6680の乗り心地が悪かったため、サ6683〜6685は3780系が廃車になった時にモ3780が装備していた比較的新しかったFS35台車を転用し、乗り心地の向上が図られています。
機器を流用して製作された同車ですが、将来的にカルダン駆動、空気ばね台車、HSC-Dブレーキに容易に改造できるように準備工事が行なわれています。また台車やモーター以外の電装品などは新品が使われています。
車内はごく標準的なロングシート仕様になっています。瀬戸線には女性客が多いことを意識して床にはの明るいパープル系のカラーの物を採用し、シートモケットもパープルにするなど、赤いシートとグレーの床というインテリアの多かった名鉄通勤型電車の内装のイメージを一新した明るいものとなりました。その後この明るい車内は、6800系5次車・3500系などその後登場した名鉄通勤車でも採用されていきました。
ちなみに現在全ての編成がブラウンパープルのシートモケットに変更されています。
側扉は普通の両開き戸ですが、内側がステンレス剥き出しになっています。
運転台は貫通構造のためコンパクトにまとめられており、先に登場した6650系とほぼ同じ構造の運転台となっています。違いは運転室内に化粧板が貼られていたり、カラーが緑から茶色になっている点です。これは窓が拡大されたことにより乗客から良く見えるため、イメージアップを図ったものと思われます。
マスコンハンドルやブレーキハンドル部分は流用品のため、レトロと新しさが同居した運転室です。
電車側面にも方向幕を装備します。瀬戸線で先頭部のを含めて種別・行先が分離された方向幕を初めて装備したのも6750系です。現在は全ての編成で英字併記幕になっています。
冷房装置は稼働率制御方式RPU3004AJ(10500kcal/h)を各車3台設置し、強風弱風の切り替えのできるラインデリアを通して車内に冷風を吹き出します。冷房装置を3台装備しているため、夏は涼しい電車です。
瀬戸線では車内の次駅案内放送が自動で行なわれており、その自動放送装置がク6650運転室内上部に設置されています。6750系は新製時から設置されていました。2002年に新しい装置に更新され、音声が若干変わりました。
←瀬戸方 | 栄町方→ | |||||||
◇ | ◇ | |||||||
モ6750(Mc) | サ6680(T) | モ6780(M) | ク6650(Tc) | |||||
6753F | 6753 | - | 6683 | - | 6783 | - | 6653 | |
全検:01.8 重検:05.6 | 全検:01.8 重検:05.5 | |||||||
6754F | 6754 | - | 6684 | - | 6784 | - | 6654 | |
全検:06.6 重検:02.7 | 全検:06.4 重検:02.6 | |||||||
6755F | 6755 | - | 6685 | - | 6785 | - | 6655 | |
全検:02.2 重検:05.12 | 全検:02.3 重検:05.11 | |||||||
6756F | 6756 | - | 6686 | - | 6786 | - | 6656 | |
全検:06.11 重検:02.11 | 全検:06.10 重検:02.10 | |||||||
6757F | 6757 | - | 6687 | - | 6787 | - | 6657 | |
全検:02.9 重検:06.8 | 全検:02.8 重検:06.7 |